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四事の瓦版

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十文と五十文の話か。

古い新聞のコラムに、面白い記事。

「鎌倉幕府の武士である青砥藤綱は、
「川に落とした10文の銭を50文のたいまつを買って探し出した。
「太平記」に出てくる話だ。「探さねば10文は永遠に失われる。
50文は私の損でも商人の利になる。
60文の1文も失われないのが天下の利だ」という次第である」

有名な話だ。

「同じ話で、50文どころか3貫文で里人らをやとって
川底を探させたのが井原西鶴の「武家義理物語」だ。
金も多額になれば、悪知恵を働かす者も出る。
一人の人足がひそかに自分の銭10文を川底から見つけたように装い、
まんまとほうびをせしめる
だが悪事は露見し、人足は銭すべてが見つかるまで川ざらいをさせられた。
この話を今度は太宰治が翻案した「新釈諸国噺」では、
97日目に銭を探し終えた人足が最後に青砥に言う。
「せんだって差し上げた銭は私の腹掛けから取り出したものでございますから、
私に返して下さい」
さてさまざまに語り継がれてきたこの物語の登場人物たちなら何と評するだろう。
岐阜県庁の組織ぐるみの裏金問題で、一部部署の関係者が裏金の処分に
困ったあげくに金を焼却したり、ゴミにまぜて捨てたと話しているという。
その額は合わせて500万円になるというから仰天だ
ちょっと信じ難い話だが、事実なら県民の税金が煙やゴミになっていたことになる。
この問題では県の情報公開条例施行直前の時点で
約4億6600万円の裏金があったことが分かっており、
今なおOBをふくむ職員が約1億900万円、部署で約500万円を保有しているという
「あなたたちは世の無駄というものも知らなければ、民をいつくしむ心もない人だ」。
川底の探索を笑う人々を諭した青砥藤綱の言葉は今も使える。
県庁のよどみの底は徹底的に探索せねばならない。」

本当の話は、だんだん、解からなくなるものが、物語なのだろう。
by 2nnn2 | 2006-08-27 18:07

暇な時の言葉


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